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犬の脳炎について

犬の脳炎は細菌やウイルス、寄生虫などの感染が原因で発生する感染性脳炎と、感染以外の原因で発生する非感染性脳炎に分けられます。犬の場合、脳炎の原因として圧倒的に多いのが非感染性脳炎で、免疫の異常で発生してしまう免疫介在性脳炎が大多数を占めます。

 

免疫介在性脳炎は脳に発生する変化から、壊死性脳炎と肉芽腫性脳炎の2つに分けられますが、これらの正確な評価には脳の組織検査が必要なため、生前で診断がつくことがほとんどありません。ですが、いずれの原因でも治療方法は同じため、臨床的には『起源不明の髄膜脳炎』と診断し、治療を進めていきます。

 

特にチワワやヨークシャーテリア、トイプードルなどの小型犬とパグで多く認められる疾患です。一般的にチワワやトイプードルは肉芽腫性脳炎が、パグやヨークシャーテリアは壊死性脳炎である可能性が高いです。

 

✔️症状は?

主な症状は、発作、フラつく、目が見えない、意識レベルの低下など脳が障害されている部位に応じた症状が認められます。発作は一時的な症状ですが、フラつきなどの症状は日常的に認められます。

初期症状が発作という場合もあるため、発作以外の症状がない場合でも安心は出来ません。発作の治療をしているのに発作のコントロールがうまく出来ない場合は、脳炎のような病気がないかどうか考えなければいけません。

 

✔️診断は?

MRI検査と脳脊髄液検査により診断します。これらの検査には全身麻酔が必要となります。

 

※当院にはMRI設備が無いため、検査が必要と判断した場合には提携しているMRI設備を有する病院を紹介させて頂きます※

 

✔️治療は?

免疫抑制剤とステロイドによる内科治療がメインの治療となります。しかし、完治させることは出来ず、進行を遅らせることが治療の目標となります。治療反応が悪ければ、2ヶ月位で亡くなってしまう可能性もありますが、治療に反応してくれれば1年〜3年の延命が可能です。

治療効果に幅があるのは壊死性脳炎と肉芽腫性脳炎を比較した場合、壊死性脳炎の方が進行が早いためです。また、同じ肉芽腫性脳炎でも、診断時の病気の進行程度により治療効果に幅が出てきてしまいます。そのため、早期発見早期治療が大事になります。

 

 

ちなみに....

猫の脳炎は原因として感染性脳炎が多いです。特にコロナウイルス感染により発症する猫伝染性腹膜炎(FIP)による脳炎が代表的です。この病気の治療については猫の伝染性腹膜炎(FIP)についてをご覧ください。