ほっこう情報室

ほっこう情報室

Homeほっこう情報室 > 犬の跛行(ビッコをひく)について

犬の跛行(ビッコをひく)について

跛行(ビッコをひく)とは四肢のうちいずれかの肢に異常が生じ、それをかばうように歩く症状を言います。簡単に言うと「肢を挙げたまま歩いたり、肢をつくのを嫌がって歩く」症状を言います。跛行の症状の程度は様々で、パッと見ただけでは分からない程度の跛行もあれば、完全に肢を挙げて歩く一目瞭然の跛行もあります。また、通常、跛行は走った時の方が症状が顕著になりやすく、普段のスピードで歩いている時は跛行が認められなくても、走った時にだけ跛行が認められる場合もあるので注意してください。

 

最初は関節や靭帯をケガした痛みから跛行を示しますが、その痛みが落ち着くと一時的に跛行が改善する場合もあります。しかし、そのまま放置した状態が続くと変形性関節症(関節がゴツゴツに変形してしまう)を起こし、ひいては関節炎による痛みが出始めます。そのため慢性化してしまう前に対処することが重要です。

《犬の跛行の7割は後ろ肢と言われています》

 

 

主に跛行の原因は『痛み』ですが、生まれつき、もしくは成長過程における骨の異常で生じる物理的要因もあります。

主な痛みの原因として、関節の異常(前十字靭帯靭帯断裂や股関節形成不全、関節腫瘍など)、骨の異常(骨折や骨の腫瘍など)、筋肉や腱の異常(アキレス腱断裂や靱帯炎など)、神経の異常(神経炎や神経の腫瘍など)、肉球の異常(異物や裂傷など)が挙げられ、主な物理的要因としては骨の成長異常(成長板早期閉鎖など)や膝蓋骨(パテラ)脱臼が挙げられます。

 

跛行の原因は主に、跛行する状況、歩き方、犬種、年齢、レントゲン画像から総合的に診断します。

神経の異常の場合、診断には全身麻酔(MRI検査)が必要になります。

 

※神経の異常の場合に認められる主な歩行異常は酔っ払いみたいに歩く「ふらつき」や力が入らない「麻痺」ですが、神経の痛みにより跛行が認められる場合が稀にあります。

 

特に跛行する状況と歩き方が大事な情報になります。病院内では歩き方を観察できる環境が限られるため、普段どういった時に跛行をするのか注意深く観察してもらうこと、どういう歩き方をするのか動画を撮ってもらうことが診断の大きな一助になります。

 

例)

✔️休息後に跛行が目立つ→関節の異常を疑う

✔️昇りたがらない→後肢の異常を疑う

✔️降りたがらない→前肢の異常を疑う

✔️デコボコ道で症状が悪化する→肉球の異常を疑う

 

 

跛行は多くの場合、外科治療が必要になります。ですが跛行の原因、年齢、大型犬か小型犬かなどにより内科治療か外科治療か選択可能な場合があります。

 

※骨や関節の異常の場合、症状が軽度だからといって様子を見てしまうと、治療が手遅れになってしまう場合があります。犬では捻挫や打撲は稀な疾患です。跛行症状が認められた際には早めに病院を受診することをお勧めします※