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犬猫の肺水腫について

肺水腫とはなんらかの原因で肺に水が溜まり、呼吸困難になってしまった状態(人で言うと溺れた状態)を言います。原因は大きく『心臓病』『心臓病以外』に分けられ、犬猫の場合『心臓病』が原因である場合がほとんどです。心臓病以外の肺水腫の原因として感電や中毒、敗血症などが挙げられます。

 

心臓病の中でも肺水腫の原因として犬の場合は僧帽弁閉鎖不全症が、猫の場合は肥大型心筋症が多く認められます。

 

◉僧帽弁閉鎖不全症について◉

小型犬とキャバリアキングチャールズスパニエルが好発犬種として知られています。加齢により心臓の中にある逆流防止弁である僧帽弁という弁が変性してしまいます(いわゆる弁膜症)。その結果、逆流防止弁としての機能が果たせず、血液の逆流が生じてしまい、最終的に肺水腫になってしまいます。

 

 

◉肥大型心筋症について◉

色々な品種に認められますが、特にメインクーンやペルシャ、ラグドールは遺伝による発症があると言われています。肥大型心筋症は文字通り心臓の筋肉が分厚くなる病気で、筋肉が分厚くなった結果、心臓に血液が流れ込むスペースがなくなり、肺水腫になってしまいます。しかし、猫の場合、犬とは血管の走行が一部違うため、肺水腫にならず胸水貯留(胸に水が溜まり、肺が広がらなくなって苦しくなる)を起こす場合もあります。また、この病気の場合、血栓が出来てしまう場合があるので注意が必要です。

 

※犬も猫も心臓病は急激に悪化します

ついさっきまで元気だったのに数分後には呼吸困難になるという場合もあります※

 

✔︎肺水腫になったらどんな症状が出るの?

口を開けたまま呼吸している、肩で息をする様子、立ったままか座ったままの姿勢で伏せの姿勢になれないなどが認められます。症状は犬でより顕著ですが猫ではわかりにくい場合があります。そのため普段活発に動くのに全く動かないなどの症状が認められた場合には注意が必要です。症状の発見が遅れると呼吸困難で心肺停止になってしまいます。

 

✔︎診断は?

主にレントゲン検査で診断します。ただし呼吸状態が極めて悪い場合などはレントゲン検査を行わず、治療を優先したり、超音波検査で判断する場合もあります。

 

✔︎治療は?

酸素濃度の濃い部屋で入院が必要になります。また利尿剤や強心剤などの投与や、すでにこれらの薬を使用している場合はこれらの薬の増量も必要になります。

治療開始が遅くなると肺水腫で入院した場合の生存退院率は70~80%と言われています。

※退院したら治療終了ではありません。再発のリスクもあるため、退院後も治療薬の継続と定期的な検査は必要です※

 

✔︎予防方法は?

有効な予防方法はありませんが、一度心雑音を指摘された犬猫は定期的な心臓検査が非常に重要になります。ただし、猫の場合心雑音が聴取されない場合もあるので、特に好発品種の猫ちゃんは一度心臓の超音波検査を受けることをお勧めします。また、猫の場合、血液検査(NT-proBNP)で2〜3匹に1匹の割合で心臓病の有無を確認することが可能です(※心臓病の有無がわかるだけで、肥大型心筋症かどうかまではわかりません。そのため異常値が出た場合は最終的に心臓超音波検査が必要になります)

先にも述べた通り心臓病は急激に悪化するため、元気でも数分後にはグッタリしてしまう場合もあります。そうならないよう定期的に心臓超音波検査を行い、肺水腫になる前に心臓病の進行を発見し、進行を遅らせるための適切な治療をしてあげる必要があります。