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犬の胸腰部椎間板ヘルニアについて

犬の胸腰部椎間板ヘルニアは背骨の間にある椎間板(髄核と線維輪からなる)が脊髄を圧迫した結果、腰痛や後ろ足の麻痺を引き起こしてしまう病態です。

 

 

椎間板ヘルニアにはヘルニアの起こし方によってハンセン1型ハンセン2型に分類され、特に臨床上問題になるのがハンセン1型の椎間板ヘルニアです。

 

 

本疾患の好発犬種としてミニチュアダックスフント、ペキニーズ、トイプードル、アメリカンコッカースパニエル、ビーグル、ウェルシュコーギーなどが知られています。中でもミニチュアダックスフントは特に有名で、他の犬種と比較して発生率が3倍高いという報告もあります。

胸腰部椎間板ヘルニアは症状に応じて5段階のグレードに分類され、そのグレードに応じて症状や治療が変わって来ますなお、グレードが低いほど症状は軽度となります。

 

✔️椎間板ヘルニアのグレード分類

グレード1〜腰痛のみが認められる

グレード2〜腰痛に加え、軽い後ろ足のフラつきが認められる。

グレード3〜腰痛に加え、後ろ足の力の入りが弱く、腰が上がりきらない

グレード4〜腰痛に加え、後ろ足に全く力が入らない

グレード5〜腰痛に加え、後ろ足に全く力が入らず、足先の痛みを感じない

 

✔️診断方法は?

レントゲン検査で診断可能な場合もありますが、確定診断には全身麻酔をかけてMRI検査を実施する必要があります。

※当院ではMRI設備がないため必要な際は当院から大学病院を紹介しMRI検査をして頂きます※

 

✔️治療方法は?

・グレード1とグレード2の場合

内科療法(ステロイドや痛み止め)と2〜3週間の安静による症状悪化の防止が治療の第一選択になります。

・グレード3の場合

確実な治療は脊髄を圧迫している髄核を取り除く手術になりますが、内科療法と安静により症状の改善を認める場合もあります。

・グレード4以上の場合

脊髄を圧迫している髄核を取り除く手術が治療の第一選択になります。手術後は安静の必要もなく、早期にリハビリを開始し、1日でも早い後ろ足の機能回復を目指します。

 

✔️手術の成績は?

グレード3か4の場合、手術により90%の症例で機能回復が期待出来まですがグレード5の場合、手術により機能回復する症例は一般的に50〜70%とされています。グレード5の症例に対する手術の治療成績は決して良いものとは言えませんが、手術をしなければ歩けるようになることはほぼ期待出来ません。

 

✔️予防策は?

これをしておけば大丈夫!という予防方法はありませんが、現在ベストとされているのが適切な運動と適切な体重管理です。安静のしすぎは体重増加と筋力の低下を招き、椎間板ヘルニア発生のリスクが上がり、過度な運動は腰への負担が増え、椎間板ヘルニア発生のリスクが上がると考えられています。適度な運動で背筋をつけ、体型にあった体重を維持することが大事です。運動不足の人が腰を悪くしやすいのと一緒ですね。