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犬猫の関節炎について

犬猫の関節炎は下図の様に大きく『非炎症性関節炎』『炎症性関節炎』の2種類に分類され、炎症性関節炎はさらに感染性関節炎と免疫介在性関節炎に分類されます。

どちらの関節炎も跛行(いわゆるビッコ)症状を示しますが、非炎症性関節炎と違い、炎症性関節炎では熱が出てしまう場合が多く、跛行に加え、元気がなくなる、食欲が落ちるといった症状も認められることがあります。そのため、関節炎を疑った場合、その他の症状が無いかどうかが大事になります。

 

 

【犬の関節炎】

靭帯損傷や膝蓋骨脱臼、股関節や肩関節及び肘関節の形成不全による関節炎(非炎症性関節炎)が多く認められますが、ミニチュアダックスフンドなど一部では免疫介在性関節炎(炎症性関節炎)が多く認められます。

 

Q.診断は?

非炎症性関節炎の場合、症状とレントゲン検査で判断可能ですが、炎症性関節炎の場合は血液検査や関節液検査が必要になります。

 

Q.治療は?

・非炎症性関節炎➡︎手術による原因疾患の治療や痛み止めなどによる対症療法が主体になります

※手術をしても関節炎は治りませんが、

さらなる関節炎の進行を食い止めるために手術が必要になる場合もあります※

・免疫介在性関節炎➡︎ヒトのリウマチの様な病態で、ステロイドや免疫抑制剤による内科療法が主体になります

 

 

【猫の関節炎】

加齢による関節炎(非炎症性関節炎)が原因のほとんどです。特に12歳以上の猫の実に70%以上は何らかの関節炎を患っているとの報告もあります。

 

Q.症状は?

猫の場合、明らかな跛行(ビッコ)を示さない場合が多いです。高いところに上らなくなった、活動性が落ちた、爪とぎをしなくなった、グルーミングの回数が減ったなど、一見すると「歳のせいかな?」と思える様な症状が実は関節炎が原因だったという場合もあります。

 

Q.治療は?

痛み止めやサプリメント、体重管理、生活環境の改善といった対症療法が主体となります。今までは1日1回の痛み止めの飲み薬が主体でしたが、4週間に1回の注射で痛みを抑えることが可能で、自宅での投薬の煩雑さがなくなる薬も登場し、猫の加齢性関節炎の治療成績の向上が期待されています。

 

 

関節炎は直接生死に関わることのない病気ではありますが、放置しておくと犬猫の生活の質を著しく下げてしまう病気です。特に犬の場合、老後になり、筋力が衰えると関節炎が原因で立てなくなったり、寝たきりになってしまう場合も決して少なくありません。一日でも長い健康寿命を維持するためにも!関節炎のサインに注意してください。