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犬の肺高血圧症について

肺高血圧症とは肺に血液を送る肺動脈という血管の圧力(血圧)が上昇する病態を言います。肺高血圧症になると肺動脈が変性(リモデリング)を起こし、肺動脈の圧力(血圧)が上昇します。その結果、肺に上手く血液を送れず、全身に酸素をしっかりと運べなくなってしまいます。最悪の場合、死に至る病気です。

 

 

✔️原因は?

様々な原因が挙げられますが、大きく下記の5パターンに分けて考えていきます

 

第1群:肺動脈性肺高血圧症

-特発性、家族性、フィラリア症、先天性短絡性心疾患、薬物、中毒

第2群:左心不全による肺高血圧症

-僧帽弁閉鎖不全症、心筋疾患

・第3群:肺疾患および低酸素血症による肺高血圧症

-慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患など

・第4群:肺血栓塞栓による肺高血圧症

-血栓症

・第5群:原因不明の肺高血圧症

-様々な要因が重なった結果発症すると考えられている

 

中でも第2群による肺高血圧症が多く、肺高血圧症の犬の約50%がこれにあたるとの報告もあります。

僧帽弁閉鎖不全症は特に小型犬で多く認められる進行性の疾患で、病気が重症化すると肺水腫になって呼吸困難になるだけではなく、肺高血圧症に罹患するリスクも高くなります。

 

 

✔️症状は?

一般的な症状として頻呼吸、呼吸困難やチアノーゼが挙げられ、重度なものだと失神を起こす場合もあります。

 

 

✔️診断は?

主に心臓超音波検査で診断します。肺高血圧症があると心臓の右側(右心系)に負担がかかります。そのため、心臓超音波検査で下の図の様な変化がないかどうかを確認します。肺高血圧症があれば血液検査やレントゲン検査などを行い、原因追及をしていきます。

※心臓超音波検査による肺高血圧症の診断基準はいくつかあり、その基準を満たす項目が多ければ多いほど肺高血圧症である可能性が高くなります。

 

 

✔️治療は?

写真にあるような薬による内科治療が基本となります。最初にお話した通り、肺高血圧症は肺動脈の血圧が上昇してしまった状態を言います。そのため、この肺動脈の血圧を下げる薬を使用します。加えて肺高血圧症を起こしている基礎疾患があればこちらの治療も同時に行います。

 

 

 

※筆者は過去にフィラリア感染症により肺高血圧症となった症例を1例経験しています。

予防で防げる病気があります。それも命に関わる病気です。しっかりと予防しましょう。※