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犬の免疫介在性多発性関節炎について

犬の免疫介在性特発性関節炎とは免疫機能の異常により、突如として自身の免疫が関節にある滑膜という部位を異物と認識し、攻撃することで発症する病気です。ミニチュアダックスフンドやトイプードル、バーニーズマウンテンドッグなどが好発犬種として知られています。また、秋田犬やチャイニーズシャペーイは遺伝による関節炎の発症も知られています。犬の世界で免疫介在性多発性関節炎といった場合、『特発性免疫介在性多発性関節炎』『リウマチ様関節炎』の2つの疾患が原因のほとんどです。ごく稀に、全身性エリテマトーデスという病気の症状の一つとして関節炎を発症する場合もありますが、今回は代表的なこの2つの疾患についてお話します。

 

 

 

特発性免疫介在性多発性関節炎

 

✔️症状は?

5歳前後での発症が多いとされており、手首と足首の関節での発生が多いです。歩行時の異常や跛行(ビッコ引く)が主な症状ですが、中には跛行症状を示さず、発熱や元気食欲の低下といった症状のみを示す犬もいます。これらがメジャーな症状ですが、頚椎と言われる首の骨にも滑膜が存在するため、ごく稀に首の痛みを示す犬もいます。

 

✔️診断は?

診断には関節液の検査(関節穿刺)が必要です。この検査は大人しい犬であれば無麻酔で実施可能です。

 

✔️治療は?

本疾患の治療はステロイドや免疫抑制剤による内科治療がメインになります。この病気の場合、関節の炎症が起こるだけで、関節にある靭帯が破壊されることは極めて稀なので多くの症例で治療がうまく行けば良好な治療経過が認められます。うまく付き合って行く必要のある病気ですが、中には薬をやめても大丈夫な犬もいます。

 

 

 

リウマチ様関節炎

 

✔️症状は?

中年齢以降での発症が多いとされています。本疾患も手首と足首の関節に発生しやすく、特発性免疫介在性多発性関節炎と同様の症状を示しますが、人間のリウマチ同様、関節の靭帯や軟骨が破壊されるので発見が遅れると手首や足首が「ハの字」になります。

 

✔️診断は?

診断には関節液の検査と血液検査、レントゲン検査が必要になります。いくつかの診断項目があり、診断項目が多く一致するほどリウマチ様関節炎の可能性が高くなります。

※病気の初期段階ではレントゲンでの変化が認められないため、特発性免疫介在性多発性関節炎として治療していたけど徐々に病気が進行し、後からリウマチ様関節炎だったと判明する場合もあります。

 

✔️治療は?

本疾患の治療も同様にステロイドや免疫抑制剤による内科治療になりますが、進行性の疾患であるため、治療目的は"治す"ではなく"進行を遅らせる"になります。