Home > 最先端のがん治療(詳細)
動物には身体の外から侵入してきたバクテリアやウィルスなどの異物に対しそれを排除しようとする「免疫」という生体防御機構が備わっています。
この免疫の役割を担っている細胞が免疫細胞です。
「がん」のもとになるがん細胞は、健康な動物でも1日およそ5,000個程度発生するといわれています。
免疫細胞の一員であるリンパ球は通常身体の中で兵隊に似た役割を果たし、侵入した異物だけでなく、がん細胞を攻撃・排除する能力も持ち合わせています。通常ではリンパ球はがん細胞が大きく増殖する前に攻撃・排除をします。
しかし、免疫細胞の働きよりもがん細胞の増殖が勝ってしまうと、がん細胞は増殖し、「がん」へと姿を変えていくといわれています。
つまり、がんとは免疫による排除機構を免れたがん細胞が限りなく増え続けていく病気と表現できます。
【がん細胞を攻撃するリンパ球】
免疫細胞療法は生まれつき持っている免疫細胞の力を高めることによって、QOL(=生活の質)を上げたり、がんの再発や進行を抑えることを目的にした治療で、人医療においても先端医療として実施されています。
ペットの医療では、①攻撃性の高いリンパ球を体内に戻す「活性化リンパ球療法」と、②がん細胞の情報をリンパ球に教えたり、リンパ球の攻撃性を高める、「樹状細胞」という免疫細胞の働きを利用した「樹状細胞療法」の治療が受けられます。
麻酔などの必要がなく、比較的体力がない動物にも適応可能です。自己の免疫細胞を投与するので、副作用がほとんどありません。
大きながんを急激に小さくすることはできません。穏やかに作用する治療のため、回数にもよりますが、一般的に費用は高くなります。
6-12mlを採血し、血液に含まれるリンパ球を2週間かけて培養します。体外で数多く増やしたリンパ球を点滴で体内に戻します。
2週間ごとに採血→投与をして治療を継続していきます。
がんそのものを小さくする目的のがんの3大療法(外科・化学治療・放射線治療)に加わる選択肢として・・・
副作用が心配。身体に負担の少ない治療を選択したい。
既存の治療法では効果が薄かった。他の方法を試したい。
他の治療と併用することで積極的に治療効果を高めたい。
一部のがんや血液の病気を除き、ほぼ全てのがんに適応が可能です。
詳しくは獣医師にご相談ください。
過去対象となったがん
メラノーマ・乳腺腫瘍・リンパ腫(B細胞性)・扁平上皮がん・肥満細胞腫・血管肉腫・組織性肉腫・骨肉腫・移行上皮がんなど
治療に用いる培養細胞は、無菌的で安全な環境下で管理されています。
カビ・バクテリアなどの異物混入による汚染に関しては最新の注意を払っています。
主治医から治療について詳しく説明させて頂きます。
家族でご相談の上、費用・留意点などを予めよく理解して頂いた上で治療を進めていきます。治療の決定後、動物の体調を見て採血日を決定します。
活性化リンパ球療法では、進行がんや末期がんを完全に治すのは難しいと考えられています。しかし、外科手術後にがんの再発や移転を防止したり、QOLを改善する補完的な効果を期待できます。
副作用は免疫の活性化による軽い発熱がまれに見られる程度です。自己のリンパ球を用いますので重篤な副作用の報告はありません。
投与の間隔や回数は動物の症状を見ながら獣医師と相談して決めます。標準的な治療では、2週間に1回の投与を4~6回行い、治療の効果判定を行います。
その後、経過を見ながら治療を継続するかどうかを検討します。
可能です。抗がん剤、放射線治療や温熱療法、インターフェロン、免疫を増強するサプリメントとの併用は相乗効果を期待できる可能性があります。ただし、抗がん剤やステロイドとの併用の場合はこれら薬剤の投与する量やタイミングを考慮する必要があります。
採血、培養、血液検査、点滴などを含む費用となります。詳しくは獣医師におたずねください。
基本的に身体に負担のかからない治療ですが、貧血の場合は体調が回復してから採血する場合があります。
また、T細胞型のリンパ腫、細菌やウィルスが血中に感染している場合には治療できないことがあります。
投与に際し、30分~1時間程度かけて点滴を行います。投与後獣医師の判断の下、院内で様子を見て頂くことをおすすめしています。
*病院によって異なりますので獣医師におたずね下さい。